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研 究 概 要



研 究 分 野

各研究テーマは、計算化学・有機合成・機器分析測定・構造解析・反応追跡など全般にわたって行われ、異なる視点から研究を進めています。また、幅広い研究活動・授業・勉強会・学会発表を通して幅広い知識と技術の習得と向上を図っています。
 有機物理化学・分子設計研究室


物理有機化学


有機化合物の化学構造と反応性を物理学の手法と精密さで研究する学問分野です。従来の化学式に頼っている有機化学では不十分であった有機物質の三次元的な立体構造と電子的な特性を分析し、優れた特性を持った機能物質の分子設計を行うことを目的として研究を行っています。


コンピュータで分子の形を見る


経験的な手法(分子力場計算)や非経験的な手法(ab initio 分子軌道法計算)を組み合わせて分子の電子的性質やスペクトルに関する情報を、コンピュータでシュミレーションし、優れた機能を有する分子の設計や合成を効率よく進めています。


有機合成化学


デザインされた化合物や、有用な機能物性を有する化合物を実際に合成します。新しい機能性のある化合物の実用的な合成を目指します。また、新規な反応の開発なども行います。

現 在 の 具 体 的 な 主 要 研 究 内 容

①環境中の有害物質の見える化
 
~ラジカルの見える化~

揮発性有機化合物の排出量は年間約100万トン以上と推計されています。さらに、それらが光や酸素などと反応して生成する粒子状化合物を二次生成エアロゾル(SOA)と呼び、これらは生体への毒性が高いことが指摘されています。しかしながら、その毒性・影響・性状・環境動態のいずれも未解明の部分が多く、また最近では生成する二次生成有機エアロゾル中のラジカル成分の生体影響が大きいのではないのかという指摘もされており、SOA中のラジカル成分の分析を行い、SOA中のラジカル量や存在するラジカル化学種の種類による生体への影響について明らかにする必要が生じてきました。しかしながら、ラジカル化学種はとても反応性が高いために通常の分析では測定するのが非常に難しいことが知られています。私たちの研究室では、有機化学の反応を駆使してラジカル化学種を目に見える形にする研究を行っています。

共同研究先 横浜国立大学 關研究室、 国立環境研、 産能研、ツルイ化学

ラジカルの見える化

 ~放射線の見える化~

2011年3月の東日本大震災によって引き起こされた福島原子力発電所の事故以来、環境中の放射線量を広い範囲で、簡便に正確に測定・分析する技術の確立が必要とされています。放射線で汚染された地域に住む安心を与え、かつ健康的な生活を維持できるような“放射線検出技術”を確立するためには、“放射線に対する感応性の高い物質”を見つけ出すことが望まれているといえます。私たちの研究室では、目に見えない放射線に対し感応性の高い物質を合成し、物理有機化学の観点から、感応性発現に本質的に重要な要因を探り出し、理論的にさらによい化合物の分子設計を行うことを目指しています。

共同研究先 産総研、福井工業大学、関西電子ビーム、ニュークリアテクノロジー
放射線の見える化

 ~紫外線の見える化~

太陽光には、目には見えないが、可視光や赤外線より波長が短くエネルギーが大きい紫外線が含まれています。この紫外線は、殺菌のために用いられることや、体内でもビタミンDの形成を助けるなど有益な効果があります。しかしながら、過剰な紫外線は有害である場合が多く、遺伝子DNAを傷つけたり、日焼けの原因となったり、老人性白内障の原因となる場合があります。私たちは、この紫外線を化学反応を用いて簡単に見えるようにすることを目指して研究を行なっています。
紫外線の見える化

②医薬品を目指した抗酸化物質の探索

ラジカルとは酸化反応を促進する因子であり、体内ではエネルギーが作られるときや、体に紫外線が当たったときなどに発生し、周囲の物質を酸化させます。活性酸素種もラジカルの一種です。
これらは、生活習慣病、糖尿病、アトピー、アレルギーなどに代表される現代病の原因になると考えられています。これを防ぐために、人間の体内ではビタミンCやEなどが活性なラジカルを還元しています。私たちの研究室では、有用な抗酸化物質の探索と合成を行ない、医薬品となる化合物の創製も目指しています。
ラジカル

③環境に優しい有機分子触媒の開発

これまでに広く用いられていた遷移金属触媒を用いない触媒反応の開発を目指した研究を行なっています。有機分子触媒は、水や酸素に安定であり、生成物に金属の残留が無いため毒性が少なく、反応操作が容易などの利点があります。私たちの研究室では、特にTEMPOなどのニトロキシラジカルを用いた炭素炭素結合生成反応の開発を目指して研究を行なっています。 有機分子触媒

④無加湿中温型燃料電池に応用できる電解質の開発

燃料電池は持続的発展を可能にする社会を構築する為には必須のクリーンエネルギーです。そのためには、電池内で効率的にプロトンを伝導させることの電解質を設計し合成することが必要です。プロトン伝導体として水を使わず100℃以上の高温でも電解質が壊れることなく、プロトンを高速に運搬することが可能な機能物質として、渡邉・獨古研究室で活発な研究が行われているイオン液体を活用し、優れた電気化学的特性、高い熱力学的安定性を兼ね備えたものを作ろうと頑張っています。

共同研究先 横浜国立大学 渡邊・獨古研究室

無加湿中温型燃料電池


⑤新規ラジカルスカベンジング剤スピンラベル化剤の開発

通常は不安定なラジカルですが、ラジカル周りの立体障害や電子的な要因により室温常圧下でも安定に存在することがあります。この安定なラジカルを利用することにより、不安定なラジカルを捕まえる方法をラジカルスカベンジング法と呼びます。
一方、ラジカルはESRという測定方法等で極微量でも測定できるという特徴があり、
安定なラジカルを用いるとどの位置にその分子がどれくらいいるのか判断ができます。このことを利用する手法をスピンラベル化法と呼びます。
これら手法を用いることができる安定ラジカル分子の設計や合成を行っています。
新規ラジカルスカベンジング剤

⑥ラジカル反応の機構の解明

フラスコ内で起こる反応は、一瞬で完結してしまう場合が多いですが、中間体にどのような分子がいるのかを判断することは、反応を理解する上で非常に重要となります
特にラジカルは、通常反応性が高いために生成するとすぐに他の原子や分子との反応がおこることが知られており、反応を追跡することは困難です。
私たちは、
力場計算なども駆使しながら反応中間体を求め、反応機構を解明するとともに、それを新たな分子の設計に役立てようとしています。

過 去 の 研 究 内 容



不斉リチウムアミド反応剤のデザイン



横浜国立大学浅見研究室で合成されキラルリチウムアミド触媒について、浅見研究室と共同で実験と計算機科学を組み合わせることによる新しいキラルなリチウムアミドの設計と合成に関する研究を行いました。


共同研究先 横浜国立大学 浅見研究室
不斉リチウムアミド反応剤



高機能性感熱紙を作り出す顕色剤の分子設計



レシート等に使われているような発色性・保存性に優れた感熱紙のメカニズムの解明と分子設計 を行いました。これらの研究においては、実際に目的の分子を合成し、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、X線結晶解析、赤外線吸収スペクトル(IR)、紫外可視光線吸収スペクトル(UV)など目的に応じたスペクトルの実測から分子の電子状態や化学結合の詳しい情報を得ることにより、分子中の種々の官能基の立体配置や官能基間の相互作用の様子を考察しました。
分子設計



エーテル溶媒の安定性


エーテル酸素の隣接位のC-H結合の結合エネルギーを計算し、種々あるエーテル化合物の中で構造の変化によってラジカル化合物の生成比が異なっていることを示しました。これらの値は、実測値ともよい一致を示し、市販されているエーテル化合物と安定性とも比較しました。




エーテル溶媒の安定性



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